沢渡日記

日々徒然

20210703

背中から抱きすくめられながら、遠くの夜空を見つめた。あったかい、と思った。腰を下ろした石畳はひんやりと冷たく、夜風が柔らかく吹き渡った。遠くで花火をする人たちのはしゃぐ声が響いた。ふいに涙が出て来て、これは何の涙だろうと思った。私は深く安心しているのだった。長い間、愛情と敬意だけを持ってゆっくり関係を育てて来た人の体温は、なんと心地よいのだろう。今までの私は、自分で自分のことを何とかしすぎていたのかもしれない。あなたを信頼している、と私は言った。それ以上の表現が見つからなかった。