沢渡日記

日々徒然

2019-01-01から1年間の記事一覧

20190830

薄闇の中、ソファーに座ってぼんやりと音楽を聴いていた。午前一時。今週も勉強漬けだった。頭と体の疲れがひたひたと押し寄せて、ふわりと眠気に包まれた。隣、いいですか?声をかけられて、見上げると百合の人が立っていた。今夜も美しいなと思った。夜に…

20190823

お疲れさまです。廊下でばったり会ったので、私は控えめに声をかけた。低く響く声でさらっと挨拶が返ってきた。今日はブルーのシャツにベージュのパンツを合わせている。前に会った時より少しラフだ。夏仕様かもしれない。足元は黒のスニーカーだった。転職…

20190821

仕事明け、直行で図書館へ行き、閉館まで勉強した。コーヒーとココアのブレンドをステンレスボトルに入れて傍に置いて、三時間半集中した。帰りがけ、最寄駅の一つ前で降りて、スーパーへ寄った。こちらも閉店間際。サービスカウンターで会計をしていたら、…

20190817

夕方、木漏れ日の下で本を読んでいた。村上春樹の騎士団長殺し。まりえの空気を斬るような鋭さに感じ入った。この物語は数ページ読む度に神聖な霧に包まれるような気持ちになり、長く読み進めるのが難しい。本を閉じてベンチから起き上がり、ステンレスボト…

20190813

カウンターの端で、トマトサワーを飲みながら本を読んでいた。本棚からふと手にして、椅子に座ってパラパラとめくり始めた。それはハワイの奥深いヒーリング手法についての本だった。記憶をクリーニングする、という言葉が繰り返し出て来た。不思議な気持ち…

20190811

長い沈黙の後、それで…ちゃんは、どうしたいとかあるの、と彼が聞いた。わからない、と私は呟いた。少し考えて、これ以上あなたと別れたくない、と小さく答えた。向こう側から音楽が聴こえてきていた。私はハイネケンの瓶を持ち上げて一口飲んだ。瓶の緑色が…

20190809

仕事明け、デパ地下でとんかつ屋のお弁当を買った。ヒレカツ、海老、コロッケ。イートインコーナーで食事をした。とんかつソースと甘いじゃがいものコロッケがよく合った。一人で食事に行くと炭水化物が多くなるので、お弁当の方が栄養価が高い気がする。食…

20190808

仕事明け、ビルを出ると雨が降っていた。折りたたみ傘を広げて図書館へ向かう途中、参考書を忘れたことに気づいた。デスクの引き出しに入れたままだ。傘とステンレスボトルを二本持って、荷物は全部という気持ちになってしまっていた。タイムロス…と思いなが…

20190807

午後からデータの作成を始めた。説明を受けながらディスプレイを見てキーボードを打ち、マニュアルに目を落として確認する。それを繰り返していた。少し眠気を感じて、ポーチからミンティアのケースを出して一粒口の中に入れた。眠そうだった背中合わせの子…

20190804

目覚めると、窓の外にはきれいな青空が広がっていた。午後三時四十分。生乾きの髪をドライヤーで乾かして、床にぺたんと座ったまま窓からの風に吹かれた。今日も海に行けなかった、と思った。朝、百合の人が青いタクシーに乗る姿をベランダから見届けると、…

20190802

タクシーを降りてコンビニへ寄った。彼が白ワインを買ってくれて、ぶらぶらと家までの小道を歩いた。家に着くと熱気がこもっていて、窓を開けて風を入れた。全然変わってない、隣に立った彼はそう言って窓の外を眺めた。冬しか来たことなかったでしょう。そ…

20190801

仕事明け、川を眺めてしばらくぼんやりした。毎日受験生のように勉強しているので、職場を出ると一度リセットしたくなる。今回もまた修行感たっぷりだなと思う。これまでを思い返すと、どこに行っても厳しい師を見つけて従事している。自分が求めているのも…

20190731

夕食には暑いけれど長崎ちゃんぽんをすすった。案の定汗びっしょりになった。ひと息つこうとドラマ、凪のお暇を観ていたら眠ってしまった。いつも同じパターンだ。十時半に起きてぼんやりしながら食器を洗った。テーブルについて手帳に予定をメモしていると…

20190729

仕事明け、公園で一時間半ぼんやりした。外で風に吹かれているとようやく気持ちが落ち着いてきた。買い物はせずに帰り、家に帰って窓を開けた。部屋には熱気がこもっていた。暑い。茅乃舎の野菜だしで豚肉と大蒜と玉ねぎを炒めて、大根を入れて少し煮た。食…

20190728

カウンターでビールを買って、薄暗いフロアへ入った。午前一時半。フロアには寒いくらい冷房が効いていて、ひんやりとした尖った音楽が流れていた。立ち飲みができる長テーブルに肘をついてビールを飲んでいると、前の方に彼の後ろ姿を見つけた。風情がある…

20190726

白ワインを飲みながらキッシュにフォークを入れた。最後に彼女へ送ったLINEのメッセージは、結局既読にならなかったんです。彼は言った。それはLINEの連絡先を削除したと思うよ。私は答えた。長い恋愛の終わりの話だった。そうか…。彼は呟いて、吹っ切るよう…

20190721

暑い、といいながら隣でぐうぐう眠る彼を置いて、私はそっと起き出した。今度こそ熟睡できるかと思ったけれど、浅い眠りしか訪れなかった。諦めてキッチンへ水を飲みに行き、窓を開けて風に当たりながら目薬をさした。朝九時半。二時間ほどしか眠っていない…

20190720

ビールを飲みながら、真っ暗なフロアで揺れていた。プレイしているのは好きなDJだ。彼は静謐で、どこか異世界の空気を纏った音を紡ぐ。目を閉じて音の流れに身を浸すと、心がひんやりと鎮まっていくのを感じた。さっき、好きだった人と二人でお酒を飲んだ。…

20190714

店を出るとまだ雨が降っていた。私はビニール傘を差して足早に通りへ向かった。午前二時半。タクシーの中で彼が待っていて、私を見つけると少しドアを開けて合図した。彼の隣に乗り込んで運転手に住所を告げると、車は静かに走り出した。遅くなってごめん、…

20190713

夜になってから、身支度をして出掛けた。外で煙草が吸いたいと言う彼が少し前に出て行き、私は音楽を止めて部屋の電気を消した。傘は一つしか持たなかった。通りの向こうにいた彼に傘を差しかけ、持って、と渡した。電車に乗って四つ目の駅で降りた。駅前の…

20190712

夜、バーで白ワインを飲んでいた。雨は次第に強くなり、無数の雨粒が窓を打ちつけていた。通りの向こう側に見えるビルの光がいくつも滲んでいて、椅子にかけたままぼんやり見下ろしていた。綺麗だ。店の中には静かなアンビエントが流れていて、くぐもった水…

20190708

パン屋でレーズン食パンを買ったので、ピクニックに行くことにした。タッパーにミニトマト、湯がいた小松菜、チーズ、林檎を詰めて、ステンレスボトルに紅茶を注いだ。日差しには僅かに金色が混ざっていた。午後四時。遅いランチになってしまった。公園に着…

20190707

林檎の皮にはポリフェノールがたっぷり含まれているのよ。皮ごと食べて欲しかったけれど言うのは控えて、キッチンで薄く皮を剥いた。薬缶がシュンシュンと音を立て始めた。火を止めてマグを準備し、紅茶のティーパックを袋から取り出した。これ…。リビングか…

20190706

夜更けに二人で公園を散歩した。風のない夜だった。白く浮かび上がるバラの匂いをかぎ、ベンチに並んで座った。それから彼と長い話をした。さっきまでの浮き足立ったデートが嘘みたいな、静かな時間だった。彼が話し終えるのを待って、私は彼の手を握った。…

20190705

歯を磨いてからフリスクを口に含んでうがいをする。眉を整え、唇にグロスを薄く乗せる。櫛で髪を梳いて、シャツの襟を整える。ネックレスのチャームの位置を真ん中に戻す。外に出ると夜風が柔らかく吹いている。通り過ぎる路面店は皆テラス席を特設し、多く…

20190629

昨日の夜、イタリアンのお店に入った。スパークリングワインで乾杯したいね、と女友達と話しながら夜道を歩いて、ふと思いついた店だった。奥のカウンターに通されて、ワイングラスを合わせて乾杯した。お疲れさま、彼女が言って、ありがとう、と私は答えた…

20190628

昨日の夜、デートをした。彼がさらりとドアを開けて入ってきた時、私は振り返って静かに彼を見つめた。会うのは久しぶりだった。こんばんは、と挨拶すると、彼は透明な目で私を見た。カウンターに並んで座ってお酒を飲んだ。店の中は賑やかで、二人の間だけ…

20190625

昨日の夜、焼き鳥屋へ行った。久しぶりに会う女友達だった。ビールで乾杯してから久しぶりに近況を聞いた。彼女はマンションを買い、出来立ての彼氏がいるらしい。順風満帆だね、と私が言うと、まだ付き合い始めたばかりで距離感がわからない、と彼女は言っ…

20190620

昨日の夜、思いがけず盛大な送別会を開いてもらった。綺麗なお花や贈り物を沢山いただき、長い付き合いの仕事仲間たちと賑やかな時間を過ごした。乾杯してから食事をしたり全員で話をして、酔いも回って次第に小さなグループに別れて話し始めていた。何で仕…

20190618

昨日の夜、残業で遅くなった。小雨の降る中、気分を変えたくてゆっくり歩いた。湿度のせいか信号の光がばんやりと滲んで見えた。博愛が九割を占めるコンディションになって久しい。恋愛感情は薄い膜のように被さるばかりで、自分の中でどちらなのか区別がつ…