沢渡日記

日々徒然

20210809

久しぶりの雨。仕事はわりと余裕があった。アサヒのドライゼロを頼むお客さんが多かった。ノンアルコールビールって飲む意味ありますか、といつも不思議に思う。胡瓜の漬物を切っていたら、今日何食べたい?とシェフに聞かれた。店の人気メニューをまだ食べたことがない、と私が言うと、賄いに鶏肉を揚げてくれた。絶品だった。素晴らしい福利厚生、とまた思った。食後に珈琲を飲んでいたら、シェフが遠くでワインレッドの心を口ずさんでいる。私も聴きたくなって、Apple Musicて椎名林檎のバージョンを聴いた。ジャジーなアレンジが彼女の真摯な声によく似合った。ふと、この仕事を辞めよう、と思った。こういうことはある日ストン、と降りてくる。降りてきたら、もう逡巡しない。それがルールだ。この仕事は川の流れのようで、その日によって流れ方や速さが変わるだけだ。流れに乗ってうまく乗り過ごすだけ。後に何も残らない。水物とはよく言ったものだ。珈琲を飲み終えて店を出た。キャップを目深に被って歩き出す。そろそろ自分の仕事に着手したい、と思った。でも具体的に思いつくものはなかった。次に欲しいものが見つからない時は、まず要らなくなったものを手放すのが先だ。空いたスペースに必要なものが入ってくる。その兆しに敏感でありたい。